私が静岡高校三年次のクラス担任は鈴木明徴先生でした。
初回のHRで言ったことが「朝のHRは特にやらない。いいか、おまえ達はその間に勉強しろ。教室の掃除もおまえ達はしなくて良い。俺がやる。」と言って、とうとう一年間、毎朝教室の掃除をしていました。
そして更には「おまえ達が受験勉強に使うペンは俺が用意する。職員室の俺の机に用意しておくから自由に使え。」「俺のおまえ達に対する支援だ。おまえ達は勉強に専念しろ。」と言って、「努力が結果を導く」とかメッセージタグを一本一本のボールペンにテープで貼り付けて不断に用意してくれました。年末になりボールペンの消費に拍車が掛かると「祈・合格」だけのシンプルなメッセージだけになりましたが。
確か美術の大村先生だと思うのですが、「明徴君は、ボールペンを無償で与える、と言ってしまい小遣いが減って困っている。皆感謝して大切に使うか、或いはかわいそうだから、もう貰いに行かないように。」と言うお話を聞くにつけ、生徒はお守りのような安心を感じ、各人深く感謝していました。
10年ほど前、先生の叙勲を知りお祝いとしてカルティエの万年筆を贈らせてもらいました。返信で八幡の幼稚園の園長をされていること、写真にあるお孫さんがかわいくて仕方ないこと等が記されており、お幸せそうな様子で何よりでした。
私たち生徒の多感な時期に多くの気づき・生き方を知らしめてくれた恩人、一昨年亡くなられた明徴先生のご冥福をお祈り申し上げます。