234.静高教育講演会にて恩田侑布子さん(91期)が講演 (2019.12.15)

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第40回静高教育講演会

2019年5月10 日(金)13:30 〜 静岡市民文化会館 大ホール

演題「あなたの橋を架けよう」

講師 恩田侑布子さん(91 期)

驚きと感動を巻き起こした今年度の静高教育講演会。静高生から約600 ものアンケートが集まりました。そのほんの一部と、当日の質疑応答の様子を少しだけご紹介いたします。

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静高生のアンケートから

生き方を教えてくれる素晴らしいお話でした。「落ち葉踏んで人道念を全うす」という俳句が特に印象に残っています。「人生は生まれて死んで終わりじゃない」という言葉は心に留めておきたいです。朗読パフォーマンスは美しい俳句と流暢なフランス語で心に迫ってきて、恩田さんの他の俳句も読んでみたくなりました。俳句は世界に誇れる素晴らしい日本文化だと思うので、僕ももっとこれから俳句に触れていきたいと思います。(1 年男子)

私は、今回の講演で、恩田侑布子さんの感性の豊かさや、発する一つ一つの日本語の美しさと重みに、心を打たれた。日常の何気ないところに注目し美し い日本語で、俳句を作る。これは恩田さんが仰った「転依」のように心の拠り所を変えつつ、心を磨いているからこそ出来ることだと思う。私もこれからは何も変わらない一日の繰り返しであっても、その中に自分ならではの楽しみを見つけたり、感性を研ぎすませたりして、恩田さんのような豊かな日本語を、使えるようにしたい。豊かな表現は、自分自身の心も豊かにし、これからたくさん体験する困難も、乗り越えられるようになると思う。(1年女子)

恩田さんの感受性の強さ、表現力の豊かさに衝撃を受けた。そして恩田さんの内側からしみでるような物悲しさを孕んだ俳句は、恩田さんが経験してきたことがあってこそ生まれているのだと感じました。また、恩田さんがこれまで得てきた仏教の考え方について、僕は知らないことがほとんどでしたが、聞けば聞くほど奥深い、一朝一夕では身につけることの出来ない人生の真髄なのだと未知ながらも感じました。貴重なお話と、情緒的な俳句パフォーマンスをして頂いた恩田さんに深く感謝したいです。(2 年男子)

私は今回の教育講演会で聞いて、感受性の大切さを改めて感じました。最近の古典の授業で、私たちは、歌詠みて罪を許さるること、衣の盾、などを学んでおり、古くから日本人は風流心を大切にしており、それがあるような人たちを、美しいなどと言っていたと感じました。私たちは普段あまりそのようなことを意識せずに生活しているような気がします。日常の一コマ一コマに、そのような多方向からの心を持ち、感受性高く生活していけるようにしていきたいと感じました。AI 社会になっていく今の時代に、人間とAI の出来ることの差というものを考えていきたいと思いました。(2 年男子)

それこそ理系化されていく時代で、自分たち文系が何のために生きるのか。その答えまでの道筋が示されたような気がします。一冊の本を読むような講演会でおもしろかったです。(3 年男子)

今日の話ではこれからのAI やグローバル化の進む世界で『耕し読解』が大切になるということが一番心に残っています。クリア読解とカオス読解が混在している世の中で能動的と主体的姿勢を持って偏見をなくし「地球益」となるように生きようと恩田さんがおっしゃっていました。私にはとても難しそうですが、今日という一日を心をこめて精一杯生きることが、つながるのかなと思いました。(3 年女子)

質疑応答から

生徒:出会いということをお話しされましたが、人間はまず個であるべきか、衆であるべきか、どちらだとお考えでしょうか?俳句は一人で作るものと思いますが。

恩田:俳句を作ることは必ずしも個だけの行為ではありません。季語は共同体のものです。季語で花と言えば桜を指し、桜にまつわるイメージがたくさんあることはお分かりでしょう。私たちは、言葉というもので、すでに人と繋がっているのです。「うたげと孤心」という大岡信の名著がありますが、個人と宴、両方を往復していくことが大切だと思います。

生徒:良いものに巡り会うためにはどんなことをすればいいのでしょうか?

恩田:あらゆる人に対してオープンマインドでいることです。そしてこれぞと思った人とは、自分から行く。それを継続する。離れた場所にいる人でも問題ないと思います。その人が自分の支えになる。その人に対して恥ずかしくない行動をとる自分でいたい。そう思える出会いがあるように願っています。


「耕し読解」を身につけ地球益を創造する仕事をしよう!


「どのような時に俳句が生まれますか?」  
「生きている世界のすべてが俳句になります」

スタッフに人気だった写真。撮影・加工も恩田さんが手がけた

渾身のパフォーマンス。会場は共感する喜びに包まれた


写真: 山本 均(95 期)