石川雅英氏(94期)設計の『ミレニアム 三井ガーデンホテル 東京』が銀座5丁目に完成します。観光目的客と訪日外国人に照準を合わせ東京五輪開催も追い風と考えられているようです。新装なった歌舞伎座にほど近い立地を意識し日本の伝統的なモチーフをデザインした外観となっています。建物は本年9月に完成し329室のホテルとしての稼働は12月に予定されています。
石川氏は、清水建設在籍時に古き良き明治の伊勢神宮門前町を再創造した『おはらい町の町並み保存再生』で1996年日本建築学会賞他多数の賞を受賞されています。この『おはらい町』(おかげ横丁)はもともとあった街並みを保存修景したわけではなく、時代考証を踏まえながら架空の門前町を新たに創り出すという想像力の豊かさを必要とする仕事で、しかも構法はスーパーゼネコンの得意な超高層建築ではなく、釘や金物を使わない伝統木造による建築で施工的にも難易度の高いものでした。
このような経験がバックボーンとして最新作のミレニアム三井ガーデンホテル東京にも生かされているようです。
人形町は戦災を免れており戦前の風情のある街並みが今も残っています。そんな街の中にある、85年前の3階建ての倉庫を改装して使用されています。古いものを生かしながら次の時代に伝えていくという石川氏の考え方がここにも反映されています。 事務所は1階がカフェ併設のショールーム、2階がギャラリー、3階が事務所という構成です。
歴史や伝統と現代をつなぐ建築を創り続ける石川氏の今後がさらに期待されます。