24. 第33回関東同窓会総会・懇親会開催 (2007.7.6)

by Shizuko kanto almuni — on

平成19年度の関東同窓会総会が、2007年7月6日午後6時より、昨年と同じく竹橋のKKRホテル(旧竹橋会館)にて開催されました。総会では、静高教頭に就任された石川恵一朗氏(87期)が来賓の挨拶をされ、引き続き役員の改選などの議事が了承されました。

総会に引き続き、恒例の同窓生による講演会に移りました。今年は日本伝統建築設計界の泰斗望月敬生氏(85期)です。

・望月敬生氏講演要旨 テーマ 「日本建築と日本庭園、出会いとこれまで」

望月先生のルーツ・静岡浅間神社


講演する望月先生


先祖は郷里静岡浅間神社の社殿造営の職人だった。静高卒業後早稲田大学建築学科に進学し建築設計を学ぶ。ところが図面を書き透視図や模型をつくっても、どうも建築を作るという実感が沸いてこないもどかしさを覚えた。そんな時渡辺保忠先生の研究室で高幡不動の五重塔等の再建の設計をすすめていることを知り、大学院で渡辺先生のもと社寺等の研究と実践の道を選んだ。この出会いが自分の生涯のテーマとなった。

高幡不動五重塔


渡辺研究室での修士論文は数奇屋がテーマで、就職は数奇屋などの伝統建築の名門水澤工務店だった。ここで飯能の能仁寺伽藍復興に従事したが、設計と現場が分離しており、職人の経験や技が設計にフィードバックされていないという疑問をもった。そこで、再度渡辺先生の門をたたき伝統建築の修行をすることとなった。

木割り

 木造の伝統建築は「木割り」というシステムにもとづいてつくられている。建物の強度計算がまだ明確でなかった江戸時代以前においては、地震 や強風に耐える造り方を、経験によって生み出していかなければならな かった。そうした木匠たちの不断の努力は、柱、梁、垂木を無駄なく使 い、しかも美しく組み合わせていく工夫と結びつくことになったが、そ れには用材の寸法の基準をきめる必要があった。その技術は、江戸末期に到って「木割り」として完成されたのである。

「匠明(しょうめい)」は江戸幕府大棟梁平内家伝来の木割書で1608年平内政信によって書かれたと言われる。

木割り書


「匠明」の図


板橋区赤塚松月院の本道修復の工事は独立して初めての仕事で竹中工務店が施工を担当した。

赤塚松月院


仕事の進め方 藤沢の早雲禅寺では伽藍の配置計画だけで2年かかり、伽藍全体は29年かけて再建した。 個々の図面も時間をかけて書いていく。断面などは1枚1ヶ月くらいかかる。屋根の曲線が大事なので10分の1の縮尺の詳細図を書いて大工と一緒に煮詰めていき、最終的には1分の1の原寸でベニヤの上に書いて検討する。 複雑な組み物も原寸で書き、鬼瓦も正面は原寸で書く。正面以外の肉付けは「鬼師」が考える。

江戸時代の虹梁の年代変化


虹梁(こうりょう:社寺建築の化粧梁)の表面に彫り込む模様は時代によって変化し、江戸初期では細くシンプルなものだが、時代が下るにつれ線が太く複雑になってくる。彫りの仕様でいつ頃の建物かわかるので、古い社寺建築を見る機会があったらこのことを念頭において見ると面白さが増す。

 小石川後楽園の築地塀

 築地塀再建の仕事は江戸図屏風などを参照しながら再現した。

六義園染井門改修

 江戸時代柳沢吉保の屋敷だったものを明治期に岩崎家(三菱)が所有し周囲にレンガ塀を巡らした。明治の様式で再現したもの。

六義園染井門


ラオスの世界遺産ルアンプラバーン国立保健学校大教室修復

世界遺産 ラオス ルアン・プラバーン国立保健学校


もともとは2つの寺をつないで一つにしたもの。仏教寺院だったものを80年前の植民地時代フランス軍の病院とした。コロニアル様式でつくられていたが屋根の傷みが激しく木構造の屋根を再建できる専門家として委嘱され修復工事に携わった。

幽篁堂移築など

世田谷区二子玉川の幽篁堂は2000坪の敷地にいくつかの和風建築が日本庭園に点在する文化財だった。過去不二サッシ、セガなどが所有したが、数年前に三井不動産が買い取り分譲マンションになった。

この文化財喪失の危機に今までのネットワークを生かして当ったところ、4つのお寺で建物を引き取ってくれることになり、消滅は免れることが出来た。

このようなケースは幽篁堂以外にも成城の川瀬家などがあり、文化的な価値が高いのに取り壊されそうになっていた能代市の海蔵寺本堂は改修工事を施すことで解体を免れている。

二子玉川の幽篁堂庭園


現代日本の建築界は耐震偽装や談合問題などで社会的な信用は失墜し、一方供給過剰による競争激化で生産体制も疲弊しているのが現状です。そんな中、望月先生の、日本建築の伝統を身をもって守っていくという筋を通した建築人生はすがすがしい感銘を与え、日本建築のよさを再認識するきっかけにもなったようです。

また、海外の世界遺産の修復事業に協力するなど、日本国内はもとより海外の文化遺産を守る事業にも欠かせぬ人材になっていることに同窓生として誇らしい気持になります。多忙な時間を割いて講演いただいた望月先生どうもありがとうございました。

本年度の総会の運営当番期は85期で、29名という大人数を送り込み結束力を見せ、また、118期の若い社会人一年生の参加もあり盛り上がりを見せた総会でした。池田幸司氏はじめ85期同窓生の皆様ありがとうございました。