22. 第32回関東同窓会総会・懇親会開催 (2006.7.8)

by Shizuko kanto almuni — on

平成18年度の関東同窓会総会が、2005.年7月6日午後6時より、今年は竹橋のKKRホテル(旧竹橋会館)にて開催されました。宮城を望む見晴らしの良い10階で旧交を温めました。

本年度は関東同窓会の規約改正も議題にあげられ、「関東同窓会」の名称の位置づけなど従来こまかな取り決めのなかった事柄についての修正がなされました。

今年の同窓生による講演は感染症の権威として活躍されている東北大学教授の服部俊夫氏(84期)です。

・服部俊夫氏講演要旨 テーマ 「ワクチンのできる感染症とできない感染症」

東北大学教授 服部俊夫氏(84期)
(1) 「天然痘」はエジプト時代から人類に脅威として存在してきた。しかしジェンナーによる「種痘」の開発により、感染者の数が激減した。そして1980年には、WHOが根絶宣言を出した。このようにある種の感染症はワクチンにより制御できる。我が国の天然痘も江戸では桑田立斎により精力的に行われた。彼は蝦夷地まででかけ数千人のアイヌ人に接種した。その功績はアイヌ種痘図として讃えられ医学史上の有名な絵として知られる。北大、阪大にコピーがあったが、その本物を仙台の芹沢美術館(注1)が所蔵していた。当時の種痘法を知る貴重な資料となった。

(注1)芹沢美術館(芹沢圭介美術工芸館)は静中28期 染色家芹沢圭介氏(圭の正字:金に圭。人間国宝・文化功労者・フランス芸術文化功労賞など受賞)の作品やコレクションを展示する美術館で、東北福祉大学内に開館した。芹沢圭介氏の子息で静中52期の芹沢長介氏が寄贈した作品蒐集品によって常設および企画の展示が行われ、同館の館長は芹沢長介氏がつとめている。→リンクページ参照

ゑぞ人うゑほうそうの図 (函館市HP「函館市史」より)

(2) 天然痘撲滅宣言の翌年1981年に米国西海岸に奇妙な免疫不全症候群の男性患者が多発し、後天性免疫不全症候群(AIDS)と命名された。1983年には原因ウイルスがヒト免疫不全ウイルス(HIV)であることが明らかになった。感染ルートは性行為(特に男性同士は危険率が高い)、②血液(輸血や麻薬による注射器の回しうち)③ 母子感染、という3つの大きな流れによって世界的に感染者が急増し、現在4000万人余の感染者が現存し、ヒトの平均余命に及ぼす実質的な影響はタバコに次いで2番目であるともいわれる。

(3) とくに現在悲惨な状態はサハラ以南のアフリカである。成人の感染者率が20%を超えている。この地域の最大の特徴は女性の感染率が男性を上回っていることであり、女性が感染を防御できる体制の構築が望まれる。

(4) しかし感染者数が最も多いのはインドで次に感染が爆発的に生じてしまったのはユーラシアの大国、インド、中国、ロシアである。2010年にはインド、中国ともに、感染者数が1千万を超えることが予測されている。それぞれの国に社会的事情が感染の爆発と密接に結びついている。

講演する服部先生


(5) HIV感染を予防できるワクチンは存在しないし、将来も開発される可能性は低い。しかしエイズはいまや「死なない病気」なっているが、一生薬を飲み続けなければならない慢性疾患となっている。社会は仕事場などの通常の接触では感染が拡がらないことなどの差別の防止をまた感染者には、カウンセリングにより、感染を広げない指導が大事である。  

(6) 解剖学からみた感染の仕方をみると、直腸は単層の円柱上皮よりできていて、吸収する機能を有していることから極めて感染しやすい構造をしている。また膣は多層の扁平上皮よりなる防御機構を有した臓器ではあるが、外傷や性病の存在によりその防御機構は壊れる。これらのことから直腸はウイルス感染に極めて弱い器官で性交は危険だということ。また女性についてはゲルやクリームなどで受傷を防止する予防対策が有効だという教育は、重要なのである。しかし最も有効なのはコンドームである。タイやブラジルではコンドームの重要性を訴えるキャンペーンにより感染の減少をみている。さらには安価な抗ウイルス剤の供給も大事である。

(7) いま日本のHIV感染率は男性に高く、女性に低い。これがもし女性の感染率が高くなると、日本も爆発的に感染率が上がる恐れは十分にある。

HIV・AIDS の年次推移 (厚労省エイズ動向委員会平成17年 より )


全国で17例目というウィルスによるガン患者を診ることから始まった、服部先生の感染症に対する医学者としての闘いはまだつづいており、危険水域に入っているアジアや日本を飛び回る多忙な時間を割いての講演どうもありがとうございました。

今までの講演者のご紹介 平成11年・・・山川静夫氏(67期) 平成12年・・・三木卓氏(70期) 平成13年・・・武村千鶴氏(69期) 平成14年・・・齋藤孝氏(95期) 平成15年・・・村松友視氏(75期) 平成16年・・・石山建一氏(77期) 平成17年・・・姫野友美氏(88期) 平成18年・・・服部俊夫氏(84期)

本年度の総会の運営当番期は84期でした。今年は竹橋のKKRホテルに場所をうつし、記念講演にスライドを使ったり、応援歌にもプロジェクタ使用したりと、昨年に続きわかりやすく楽しい総会になりました。杉山順一氏はじめ84期同窓生の皆様ありがとうございました。